2011年12月10日土曜日

【駄文】松本山雅昇格と松田直樹

松本の昇格と松田直樹に関するある記事を読んで、なにか違和感を感じました。

服部年宏が鳥取に移籍した昨年、鳥取は優勝しJ2昇格を果たしました。同じように松田直樹が松本に移籍した今年、松本山雅はJ2昇格を果たしました。ただ違うのは、本来その歓喜の場にいる筈の松田直樹は、もう既にこの世の人ではないということです。

松本の選手たちが今JFLにいる理由、その1つが心構え。彼らは交代時思い思いの場所からピッチを出て、交代選手と握手を交わすことはない。駄々をこねるように抗議する姿は男らしくない。

レアル・マドリーは、メッシは…

そして松田直樹は「JFLでは審判に抗議しない」



よく出来た物語だと思いました。「Jリーグで、日本代表で名を馳せた選手がJFLに行き、問題があるクラブを変え、昇格に導く」「しかし主人公は志半ばで倒れ、その意思を受け継いだチームは変わり、昇格を手にする」そんな漫画みたいなストーリィがここにはあるように思いました。

ただ、ここで思うのは。Jの、それも日本代表経験のある選手である松田直樹が、松本に与えたものがあるのは間違いない。しかしそれは、受け取った人にとって違うはずです。ある人は闘争心でしょうし、ある人はピッチでの振る舞い。技術的なことという人もいるでしょう。「心構え」という言葉1つで終わらせてしまえるようなものではないはずです。

彼の意識変革が松本を昇格に導いた一因ではあるかもしれません。ただ、僕は思うのです。松本が昇格したのは、長野県リーグから、北信越リーグへ。北信越リーグからJFLへ。その厳しい戦いを勝ち抜いて、そして松本を去っていった数多の選手たち、松田直樹に比べて知名度も無く、全国で注目されることも無く。ただ彼らが松本の土台を作った、何も無いところから少しずつ強くしていったからこそ、今年の松本の昇格があるのではないかと。

そしてそれは鳥取も同じです。決して服部年宏の、松田直樹の1人だけの力ではない。ピッチでプレーしている11人だけの力でもない。鳥取に、そして松本にこれまで関わったすべての選手、スタッフ、サポーターがいたからこそ、昇格できたのです。

松本が昇格を決めた日は、松田直樹の月命日。そして彼が横浜Mでの最終戦で、人々の心を打つメッセージを届けてからちょうど1年後。事実は時に物語よりもドラマチックに展開します。そしてそれは、書き手にとって格好の材料になり得ます。

僕は個人的理由から、松田直樹を敬愛しています。彼の死は僕に大きなショックを与え、そして彼の死を根幹においた記事をブログにアップしたこともあります。それでもこの記事には違和感を覚えます。

松本の選手たちを落とすことで、松田直樹の素晴らしさを際立たせる必要があるのでしょうか。スターの思いがチームを昇格に導く。この主題有りきの文章に見えてならないのです。松田直樹1人に注目する記事は、松本山雅FCというクラブを正しく読者に伝えているのでしょうか。

‐文章を書く者としての自戒も込めて‐



松田直樹にとって縁ある日に昇格を決めた松本山雅FC。

「マツさんのためにも」

人々の心を打つ言葉です。

しかし、松本山雅FCを突き動かしたのは決してこの理由だけではない。そこにはもっと多くの「~のためにも」がある。サッカーにおいて事実は時に物語を凌駕するストーリィを作ります。しかし突き詰めていくとそこには、決して個人の美談として単純化することのできない歴史と、人々の思いがあるのだと僕は思います。

12/11(日)13:00、松本山雅FC×ソニー仙台FC。アルウィンで行われる、今季JFLの最終節です。災害復興支援試合のため松本にとっての最終戦は既に終わっていますが、この日が松本に関わる全ての人にとって良き日となることを願っています。


最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


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